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東京高等裁判所 平成11年(ネ)3020号 判決

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

二  被控訴人は控訴人に対し、金一四万三九五三円及び内金一〇万七七八五円に対する平成一一年二月二七日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

三  控訴人のその余の請求を棄却する。

四  訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを二〇分し、その一を被控訴人の負担とし、その一九を控訴人の負担とする。

五  この判決の第二項は仮に執行することができる。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人は、控訴人に対し、金二一七万二二五九円及びこれに対する平成九年六月一二日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は、第一、二審を通じて被控訴人の負担とする。

4  仮執行宣言

二  被控訴人

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

第二事案の概要

一  事案の要旨

本件は、控訴人が訴外東和商事株式会社(以下「訴外会社」という。)との間の手形貸付取引契約に基づき同社に対して手形貸付の方法によって貸し付けた八三〇万円(以下「本件貸金」という。)の残金二一七万二二五九円とこれに対する遅延損害金の支払を連帯保証人である被控訴人に対して求めるものである。

二  原判決の概要

原判決は、控訴人の訴外会社に対する一連の貸付は原判決別紙計算書1ないし3の三本の貸付の書換であると認定し、訴外会社が訴外日本信用保証株式会社(以下「日本信用保証」という。)に対して支払った保証料及び事務手数料を利息制限法三条によって利息とみなした上で利息制限法所定の利率による利息の計算を行い、これを超過する部分はそれぞれの貸付ごとに元本に充当されるとして残元本を算出し、残元本とこれに対する利息は被控訴人による供託と弁済により消滅したとして、控訴人の本訴請求を棄却した。

三  当事者間に争いのない事実

当事者間に争いのない事実は、原判決「事実及び理由」欄の「第二 事案の概要」の一の1ないし8(原判決二頁八行目から六頁二行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決五頁六行目の「別紙約束手形目録(一)、(二)記載の各手形を」を「5項(1)、(2)記載の各手形を」と改め、六頁二行目の「(乙一〇の一、二)」を削除する。)。

四  争点及びこれについての当事者の主張

控訴人は、当審において貸金業の規制等に関する法律四三条によるいわゆるみなし弁済の主張は撤回したので、本件の争点は次のとおりである。

1  訴外会社の支払額のうち利息制限法所定の利息を超える部分の扱い

(一) 過払金の充当ないし相殺の方法

(被控訴人の主張)

控訴人の訴外会社に対する貸付は、原判決別紙計算書1ないし3の三つのグループに分けて継続して行われたものであり、借り換えないし借り増しと解すべきであるし、そうでないとしても、過払金が生じた時点においてそのグループ内の次の順位の債務に充当すべき合意があるから、原判決別紙計算書1ないし3に記載のとおり充当されることになる。

なお、控訴人の訴外会社に対する貸付を一つの継続したものとすると、別紙利息制限法計算書のとおり充当されることになる。

仮に、右の充当の主張が認められないとしても、平成一一年一二月六日の口頭弁論期日でした相殺の意思表示により、相殺適状を生じた時に遡って相殺の効力を生じ、かつ、債務者は弁済期前にも期限の利益を放棄して弁済できるから、その結果は右の充当の場合と同じである。

(控訴人の主張)

控訴人の訴外会社に対する三二件の貸付は、それぞれ別個独立の手形貸付で、手形の決済により弁済を受けるものであるから、それぞれの貸付について過払があった場合には不当利得返還請求権が発生すると考えるべきである。そして、この不当利得返還請求権をどう行使するかは権利者の意思に任されているのであって、その意思を無視して当然に他の別口の債務に充当されるものではない。また、弁済期が到来していない債務については、弁済期までの利息を支払うことなく元本への充当を認めるべきではない。

なお、本訴において被控訴人が相殺をするというのであれば、過払金の合計と未返済の本件貸金債権とを対当額で相殺すべきである。被控訴人が主張するように、既に弁済によって消滅している債権を受働債権とすることはできない。

(二) 利息天引きの場合の計算方法

(被控訴人の主張)

利息を天引きして貸金の交付を受けた訴外会社が支払期日に支払うべき金額は、受領額と利息制限法所定の利率で計算した利息の元利合計額である。

(控訴人の主張)

利息を天引きして貸金の交付を受けた訴外会社が支払期日に支払うべき金額は、実際に交付を受けた額とこれに対する利息制限法所定の利率で計算した利息の合計額であり、それが元本になる。原判決別紙計算書は、このような天引計算をせず実際の受取額を基準に充当をしている。

2  日本信用保証に対して支払われた保証料及び事務手数料は利息制限法三条によって利息とみなされるか。

(被控訴人の主張)

保証料及び事務手数料は控訴人が受け取って日本信用保証に渡すとしても、控訴人がこれらを受け取る以上利息制限法三条にいう「債権者が受ける元本以外の金銭」に当たることは明らかである。しかも、日本信用保証には経済的な独立性はなく、控訴人の企業内の一組織としての実態を有しているに過ぎない上、「保証料」、「事務手数料」と「利息」、「調査料」、「取立料」の受け入れは一体として行われ、日本信用保証による代位弁済も控訴人の都合に合わせて恣意的に行われているのであるから、「保証料」、「事務手数料」は単なる名目に過ぎず、実質は控訴人が受け取る利息に他ならない。

(控訴人の主張)

信用保証は、貸倒れのリスクの大きい債務者の信用を補完するものであり、信用保証料は信用保証委託契約に基づき支払われる信用保証の対価であって、信用保証業務遂行のために用いられるものである。

ところで、利息制限法三条で利息とみなされるものは債権者が受け取った利息以外の名目の金銭であり、債権者以外の者に支払われる金銭までもが含まれるものではないところ、保証料及び事務手数料を受け取った日本信用保証は控訴人とは別個の法人である。また、利息制限法三条で利息とみなされるのは利息の実質を有し、利息制限法を潜脱する手段とされているものであるが、本件の保証料及び事務手数料はこの要件を満たさない。

したがって、本件の保証料及び事務手数料は利息制限法三条所定のみなし利息には当たらない。

3  和解契約の成否

この点についての当事者の主張は、原判決一三頁四行目から一五頁一行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。

第三当裁判所の判断

一  争点1(一)について

1  前記当事者間に争いがない事実、証拠(甲一、二の1、六、一六の1、2、一七、一八、一九、四三の1、六〇)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。

(一) 控訴人は、中小企業に対して物的担保は取らず、保証人を付けることによって事業資金の貸付を行っている。控訴人の顧客の大部分は、銀行などの金融機関からは融資を受けられなくなった者である。

(二) 控訴人では新規に借入の申し込みがあった場合には、借入申込書に記入してもらい、これを本社審査部に送付し、本社審査部では申込者の負債を調査し、人的担保の有無、不動産の有無などを総合的に考慮し、稟議を経て貸出額を決定し、融資を実行する。融資を実行する際には顧客から約束手形の振出、交付を受け、この約束手形を決済することによって貸金の返済を受けるのであり、手形の書替が行われることはない。控訴人が顧客に実際に交付する金員は、顧客から交付を受けた約束手形の額面金額から利息、調査料、取立料、保証料、事務手数料を控除した金額であり、これが顧客に手渡され又は顧客の口座に振り込まれる。約束手形の満期が近づいてくると、控訴人の従業員が顧客に対し継続して融資を受けることを希望するか否かを問い合わせ、顧客が継続して融資を受けることを希望した場合には、従前の約束手形の満期日を振出日とする約束手形を新たに振り出してもらい、利息等を控除した金員を交付する。継続して融資する際にも、控訴人において審査を行い、稟議を経るが、新規の貸付の場合に比べて審査は簡略化されている。

(三) 本件基本契約の内容は、<1>元本極度額は一〇〇〇万円とする、<2>契約期間は五年とするが、契約期間満了時に控訴人、訴外会社、連帯保証人から特段の申し出がないときには同一の条件で更に五年間継続されるものとする、<3>返済は手形面記載の満期日に手形面記載の支払場所で手形決済の方法により元金(手形金額)を一括返済する、<4>手形貸付を受ける場合の利率は、その都度控訴人との合意によって決定し、控訴人からこれを記載した計算書の交付を受けるものとする、というものである。また、訴外会社は、控訴人との金銭消費貸借に基づく原因証券として、約束手形に必要記載事項を洩れなく記載のうえ、借入希望日の五日前までに郵送するものとされ、控訴人は訴外会社が郵送した約束手形に基づいて訴外会社の借入希望日に貸付を実行し、訴外会社の指定した口座へ銀行振込をすることとされている。

(四) 被控訴人は訴外会社の控訴人に対する債務について保証債務極度額を一〇〇〇万円として五年間連帯保証した。

(五) 控訴人は、本件基本契約に基づき、平成六年九月五日以降、訴外会社から原判決別紙計算書1ないし3の「借入額面額」欄記載の金額を額面額とし、「支払期日」欄記載の日を満期とする約束手形の振出、交付を受けて、同計算書の「借入日」欄又は「支払日」欄記載の日に「借入額面額」欄記載の金額から「利息」欄、「調査料」欄、「取立料」欄、「保証料」欄及び「事務手数料」欄に記載の金額を差し引いて「交付金額(保証料」欄記載の金員を訴外会社に交付した。

(六) 訴外会社は、前記の支払を拒絶された約束手形以外の各約束手形については、各満期日までに、各約束手形の額面額と控訴人からの受領額との差額、すなわち、利息、調査料、取立料、保証料及び事務手数料として差し引かれた額の金員を訴外会社の当座預金口座に入金していた。

(七) 控訴人の訴外会社に対する最初の貸付である平成六年九月五日実行分については同年八月三一日付け貸付稟議書で稟議が行われ、平成七年七月六日実行分、同年八月一日実行分及び同年八月四日実行分については同年五月一二日付け継続借入申込書で稟議が行われ、平成七年一一月七日実行分、同年一二月一日実行分及び同年一二月六日実行分については同年九月六日付け貸付稟議書で稟議が行われ、平成八年三月七日実行分、同年三月一二日実行分及び同年三月一五日実行分については同年一月二二日付け貸付稟議書で稟議が行われ、平成八年一一月六日実行分、同年一一月七日実行分及び同年一一月一一日実行分については同年一〇月四日提出の貸付稟議書で稟議が行われ、平成九年六月一一日実行予定分については同年五月一五日提出の貸付稟議書で稟議が行われた。そして、二回目以降の貸付においては、各貸付について落込手形を特定して稟議が行われた。

2(一)  右認定の事実によれば、控訴人から訴外会社の口座に実際に振込が行われているのであるが、貸付金額を増加させる場合を除いては、一つの例外(従前の手形の決済日の二日前に貸付が実行された。)を除いて控訴人から訴外会社に貸付金が振り込まれた日に天引分名目で訴外会社が入金した金員を加えて従前の手形が決済されているから、貸付日当日(一例だけは二日後)にはその貸付金に天引分名目の額を加えたものが控訴人に還流している。してみると、形式的には一度控訴人から訴外会社に資金が流れるが、実質的には訴外会社が天引分名目で入金した金員だけが控訴人に支払われているとみることができる。そして、控訴人自身従前の約束手形の決済のために使われることを予定して貸し付けていること、控訴人に借入を申し込む者は、一般的には銀行などの金融機関から借入することができるだけの信用を有しない者であるから、短期間のうちに自己資金や他からの借入金で従前振り出した手形を決済することにより控訴人に対する債務を返済することができる状況は生じないと思われること、貸付の継続が控訴人の利益にもなることを考えると、控訴人は、一定の金額内で一定期間(本件基本契約では最長五年間。更新されれば更に五年間)訴外会社との取引を継続することを予定し、しかもその間天引分名目で高利の金員を控訴人が受領することができるように考案された一つの仕組みであるということができる。

右に述べたところによると、控訴人と訴外会社との取引は、一連のものであり、従前の約束手形の決済のために必要とされる以上の金員が貸し付けられた場合には借り増しがあったと解し、また、従前の約束手形の決済のために必要な貸付金が二口に分けられた場合は、借り増しなどに伴い訴外会社が支払うべき天引分名目の金銭の額の算出方法や利息支払日などを変更したに過ぎないと解するのが相当である。

控訴人が主張するように、控訴人からの貸付金が訴外会社の口座に振り込まれた後は、それをどのように使用するかは訴外会社の自由であり、従前の約束手形の決済資金として使用しなければならないわけではないが、実際にはその資金を従前の約束手形の決済のために使わなければ、その約束手形は不渡りになるのであるから、訴外会社は倒産を覚悟しない限りそのような事態は生じさせないし、仮に、そのような事態になれば資金の流れが止まって精算、回収が始まるだけのことである。また、控訴人は、従前の約束手形と新たに振出、交付を受けた約束手形の両方が不渡りになる(控訴人はダブル不渡りと呼んでいる。)ことがあると主張し、確かに甲第一八号証によれば、ダブル不渡りが発生していることが認められるが、これも資金の流れが止まった後の精算の問題に過ぎないということができる。控訴人の主張するような事情は、右のような解釈を採ることの妨げとなるものではない。

(二)  以上述べたところによると、訴外会社が控訴人に支払った天引分名目の金員(後記三のとおり、保証料及び事務手数料も含む。)は、利息の先払(なお、支払時に未払利息があるときは、まずそれに充当される。)と解するのが相当であるから、利息制限法所定の利率によって計算された金額は残存元本に対する利息に充当し、支払額から右金額を差し引いた残額は残存元本に充当すべきものである。

二  争点1(二)について

利息制限法二条は、天引きした利息の額が受領額を元本として同法一条所定の利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分は元本の支払に充てたものとみなす旨規定しているが、受領額が元本となるとまでは規定していない。したがって、訴外会社が弁済期に返済すべき元本額は、受領額を元本として計算した利息制限法所定の利息額と天引額を比較して天引額が制限利息額を超えるときは、この超過額を名目元本額の弁済に充当した残額である。なお、一で述べたように、訴外会社が控訴人に支払った天引分名目の金員は利息の先払と解するから、天引計算が問題になるのは、平成六年九月五日の最初の貸付及び借り増し(ただし、従前の約束手形の決済と関係付けられたために、額面額から名目上の天引額を差し引いた金額が実際には訴外会社に支払われていない場合を除く。)のときだけである。

被控訴人は、貸金業の規制等に関する法律が実際に利用可能な貸付けの金額を計算根拠とすることを要求しており、実質利率の掲示を求め、領収証の交付を義務付ける等天引計算の存在を前提としない内容のものであるから、利息制限法二条の天引計算は死文化したと主張するが、貸金業の規制等に関する法律が実際に利用可能な貸付けの金額を計算根拠として要求しているからといって、利息制限法でもこれと同じ解釈を採らなければならないものではないから、被控訴人の右主張は失当である。

三  争点2について

1  証拠(甲一五、二二、二三の1ないし7、二四、二五の1ないし10、二六、二七、三〇、三三、五二、乙七、八、二〇の2ないし5、二四、二八の1、2、二九、三〇、三一の1ないし3、三三の1ないし3、三四、五三の1ないし4)によれば、次の事実を認めることができる。

(一) 日本信用保証は控訴人の融資に対する信用保証をその業務内容として平成三年五月二七日に設立された控訴人の一〇〇パーセント子会社であり、控訴人とは別個に税務申告、決算処理を行っている。本店は京都市におかれ、全国にある支店のうち七支店は控訴人とは別店舗で営業、回収業務を行っているが、支店の中には控訴人のフロアを賃借して回収活動をしているところもある。また、控訴人と日本信用保証が共通の電話を利用しているところもある。平成九年三月三一日現在の日本信用保証の取締役三名のうち二名は控訴人の代表取締役であり、他の一名も控訴人の取締役であった。

(二) 日本信用保証は契約書の締結業務、保証料の徴収業務を控訴人に委託し、委託料として一件について一〇〇〇円を控訴人に支払っている。一方、控訴人は日本信用保証に対し、徴収した保証料を毎月一五日〆の二〇日払い、月末〆の翌五日払いの二回にまとめて支払っている。

なお、日本信用保証の第八期(平成一〇年四月一日から平成一一年三月三一日まで)の受入保証料は三六〇億円強であり、これに対して代位弁済額は平成一〇年度では五二三億円強、求償権行使による回収率は五〇パーセント前後である。

(三) 控訴人の保証債務履行請求は、控訴人が期限の利益喪失を認知し、その債権を管理債権として処理した月から二か月経過の末日の被保証債権に関する残高明細書を添付して日本信用保証に行うこととされているが、平成七、八年当時は日本信用保証の収入、控訴人の回収の状況によって代位弁済の時期が決められ一定していなかった。日本信用保証が代位弁済して求償債権を請求する訴訟の提起件数は平成一一年六月一八日までの一年間で四八件であるが、代位弁済した件数の一割足らずである。なお、控訴人と日本信用保証とが混在一体となって債権回収に当たっていることもある。

(四) 控訴人の貸付はすべて日本信用保証が顧客の委託を受けて保証を行っているが、保証料率は控訴人と日本信用保証の協議で決められ、日本信用保証には独自の審査部門はなく、控訴人が貸付を決定した場合には日本信用保証は必ず保証することになっている。また、日本信用保証が保証を行うのも控訴人の貸付に限られている。なお、日本信用保証の設立によって同社の保証付きとされたことに伴い、控訴人が徴収する利息、調査料が引き下げられた。

2  右認定の事実によれば、日本信用保証は控訴人とは別の法人ではあるが、控訴人の決定した貸付先については自動的に保証をし、保証料率も独自に決めることができず、控訴人と協議をしなければならないなど、その業務自体を控訴人とは独立に行っているとは言い難いうえ、日本信用保証の保証先も控訴人の貸付先に限定されており、その実態は控訴人の回収を行う一部門に過ぎない。そして、一般に貸付を行う際に信用保証会社の保証を付ける目的は、本来ならば債務者の信用を補完し、危険の分散を図ることにあるが、右認定のとおり日本信用保証は控訴人の一〇〇パーセント子会社であるから、日本信用保証の回収不能による損失も唯一の株主である控訴人が最終的に被るにもかかわらず日本信用保証を設立し、保証料及び事務手数料を徴収することとした背景には、このような形態にすれば、天引額のうち保証料及び事務手数料は利息制限法三条の適用を免れるという思惑があったことも否定できない。

利息制限法三条で利息とみなされるのは債権者の受ける元本以外の金銭であり、本件の保証料及び事務手数料は控訴人が受けるものではないが、右に述べた事情に鑑みると、債権者たる控訴人が受けるのと同視して利息制限法三条の規定により利息とみなすのが相当である。

付言するに、日本信用保証以外の信用保証会社が徴収する保証料がその実質からみてみなし利息に当たる場合がありうるが、利息制限法所定の利率を超える金員を天引きしていないため問題が生じていないとも考えられる。

四  以上述べたところに基づき、訴外会社の支払額のうち利息制限法所定の利息を超える部分を順次残元本に充当すると、被控訴人が平成九年七月一〇日に三九三万六八九七円を供託した後の残元本は、別表のとおり、一四万七六六五円となる。

前記のとおり、被控訴人が控訴人に対して、平成一一年二月二六日に三万九八八〇円を支払ったことは当事者間に争いがなく、これを控訴人の主張するとおり残元本に充当すると残元本は一〇万七七八五円となる。

五  争点3について

乙第一号証の1ないし9、第二号証の1ないし14、第三号証の1ないし11、第五号証の1ないし4、弁論の全趣旨によれば、被控訴人の代理人弁護士と控訴人の担当者との間で和解の交渉が行われたこと、被控訴人は控訴人の担当者との間で連絡を取った上で三九三万六八九七円を供託したことは認められるものの、乙第五号証の4及び弁論の全趣旨によれば、控訴人は被控訴人の代理人弁護士から送付を受けた合意書に押印せずに返送したことが認められるのであって、この事実に照らすと右認定の事実をもって和解契約が成立したとまで認定することはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

六  以上の次第であるので、控訴人の本訴請求は、残元本一〇万七七八五円と平成一一年二月二六日までの確定遅延損害金三万六一六八円の合計一四万三九五三円及び残元本一〇万七七八五円に対する平成一一年二月二七日から支払済みまで年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

七  結論

よって、本件控訴の一部は理由があるから、原判決を主文のとおり変更することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法六七条二項、六一条、六四条本文を、仮執行宣言について同法三一〇条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高木新二郎 裁判官 北澤晶 裁判官 白石哲)

被控訴人代理人目録 <省略>

利息制限法計算書 <省略>

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